協力行動と利己的行動

『WIRED』の記事。実験的環境での話なのだが、グループ全体のことを考えて行動する利他的プレイヤーは、ほかのプレイヤーから嫌われるという知見。何か裏があるのではないかとか、利己的に振舞う自分が悪者に見えるとかということが理由らしい。

「人間は利己的である」という解釈枠組みができてしまうと、利他的行動を取る人間は怪しく見えてしまうか、うっとうしいKYの人間に見えるという直感に合致する。

有名な山岸俊男らの「信頼」と「安心」に関する研究でも、原則的に、交換の正義(市場の正義)を信じるという点で他者が善であると期待することが、「信頼」だとされているようだから、利他的プレイヤーへの「信頼」については論じられていないように思われる。「安心」の世界である日本では、利他的プレイヤーに対する評価は変わって、むしろ好ましい人となるかもしれない。プレイヤーの置かれた文化的・社会的なコンテキストに大きく影響を受ける実験のように思われるが、信頼や利他的行動を考えるうえで興味深い結果だと思う。