2009-01-01から1年間の記事一覧
もうひとつ、司馬遼太郎を見直したきっかけが本書だ。司馬遼太郎は、人物、英雄を描くだけという印象が強かったのだが、この本では、登場人物の意識をつうじて、日本古代の律令制から中世の封建制への制度変動を描くことに成功しているように思う。義経やそ…
中学、高校の頃、小松左京や星新一、筒井康隆など日本のSFを結構熱心に読んでいたのだが、父親の書棚にあった司馬遼太郎を時折読んだ。現在覚えているのは、『燃えよ剣』、『新撰組血風録』、『竜馬がゆく』、『坂の上の雲』、『峠』など。幕末の群像を描い…
金属との人間の出会いから、バーチャル化した貨幣の時代である現代まで、金と人間との想像力における交渉を描く壮大な人類史。人間の技術や知は、死と生命の貧しさを超克する生命時間への干渉/支配だという視点は非常に興味深いものだ。錬金術は地中で成長…
6月30日読了。ここしばらくずーっと抱いていた、相対主義と恣意性の超克という自分自身の問題意識は正しかった・・・と、宮台さんの本を読んで慰められている場合か?と思いつつ、確かに魅力的な議論の書。ベストセラーになっただけのことはある。「恣意性か…
7月1日読了。「沼昭三」こと天野哲夫氏の『S&Mスナイパー』連載の告白的エッセイと、未完の小説を収める。告白的エッセイは、連載当時は天野氏の名義で発表されたもの。やはり沼昭三の正体は誰かという興味から、天野氏の精神史や生活史を知りたいという欲求…
6月29日読了。浦沢直樹のモーニング連載の新作。戦後日本を舞台にした謎解きもの。秘密結社や陰謀など、先行き不透明な現代に生きるわれわれの心性にぐっとくるモチーフをちりばめ、類型的だが魅力的な登場人物たちを動かす手腕はいつもながらのもの。昔懐か…
5月、『NHKスペシャル 電子立国日本の自叙伝』全6巻とともに、DVDボックスを購入。6月28日観了。先日全6巻を観終わった。この番組が放送された当時(1992〜93年)、現在から振り返ると、日本はバブル崩壊を迎えて、経済的・社会的凋落を始めていた。父親や祖…
また気を失っていました。久々更新。ここしばらくで読んだ本など。専門書は除く。
だいぶ昔の話。1月29日、東京に出張したついでに、国立科学博物館で開かれた特別展「1970年大阪万博の軌跡 2009 in Tokyo」を訪ねた。 万博は不思議なイベントだ。「人類の進歩と調和」をテーマとする同博覧会は、科学技術のもたらす明るい未来が極彩色で描…
本日、澁澤龍彦『思考の紋章学』(河出書房、1985年)を再読。同書は大学時代の愛読書の一つで、カフカの「家長の心配」という短編に登場する「オドラデク」という謎の物体について、澁澤が書いていることを確認したくて、再読した。オドラデクは、人工物な…
夕メシを作って食いながら、次の番組を見た(お、気づくと今日は「である」調だ)。 「ゴリラ先生ルワンダの森を行く」(NHK総合、19:30〜20:45) 26年前、ルワンダの森でゴリラと過ごした類人猿学者の山極寿一京都大学教授が、ルワンダのゴリラたちを再訪…
計算機の歴史に関する一般向けの原稿、一部仕上げて朝方送信。19世紀のバベッジの階差機関と解析機関に関する部分を昨日は書き上げた。あとは、フォン・ノイマン型アーキテクチャの登場する現代のコンピューティングまでのデジタル自動計算機開発の歴史を追…
FemaとBoston Dynamicsが開発した四本足ロボット。たぶん中に何か動物が入っています。キモい。さらに、蹴られても負けない。 山道も、荷物を担いでけなげに人間の後をついてきます。 最近武装したそうです。 この後、書評などをアップ予定。 でしたが、結局…
おそらくインターネットの情報が、翻訳されるかして、米国でも硫化水素自殺が広がっているようです。日本と同じように、家庭用の入浴剤や洗剤などを混ぜ合わせて、「危険硫化水素発生中」という張り紙が外に張ってあるそうです。アパートの部屋などでの自殺…
(写真、アップしました。4/28)松山では、電子情報通信学会のシンポジウム「技術者倫理に関する現状と今後の課題」(3月18日午後13時30分〜午後5時、工学部4号館2F、座長:電気通信大学三木哲也先生)を聴講し、翌日同学会技術者倫理WGに出席しました。シン…
おととい未明から昨日昼過ぎまで、寝込んでいました。先週松山と関東地方を往復して、あまり睡眠も取れなかったので、体調を思いっきり崩したようです。卒業式や謝恩会も出席できず、卒業生には申し訳ないことをしてしまいました。ごめんなさい。先週はなか…
本日、下記の2本の講演録を読みました(なんだか本日は「ですます」の気分)。佐藤さんの論文のほうは、千葉大学・土屋先生のお勧めです。 柄本三代子「健康リスクを食べる−「的確な誤読」への誘い」『社会情報』Vol.18, No.1(2008年12月) 33-52 佐藤純一…
本日、ブログを再起動。長く放置状態だった「はてなダイアリー」のブログを再び引っ張り出して、書いてみることとしました。ゼミの学生にもブログを立ち上げてもらって、教員と学生とで、対面だけでなく、ネットでも交流することで、立体的にゼミでのコミュ…