2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

司馬遼太郎『義経』上・下(文藝春秋、2004年2月10日新装版第1刷、2004年12月10日第7刷)

もうひとつ、司馬遼太郎を見直したきっかけが本書だ。司馬遼太郎は、人物、英雄を描くだけという印象が強かったのだが、この本では、登場人物の意識をつうじて、日本古代の律令制から中世の封建制への制度変動を描くことに成功しているように思う。義経やそ…

司馬遼太郎『韃靼疾風録』上・下(中央公論新社、1991年1月10日初版、2004年11月30日第18刷)

中学、高校の頃、小松左京や星新一、筒井康隆など日本のSFを結構熱心に読んでいたのだが、父親の書棚にあった司馬遼太郎を時折読んだ。現在覚えているのは、『燃えよ剣』、『新撰組血風録』、『竜馬がゆく』、『坂の上の雲』、『峠』など。幕末の群像を描い…

鶴岡真弓『黄金と生命 時間と錬金の人類史』(講談社、2007年4月20日)

金属との人間の出会いから、バーチャル化した貨幣の時代である現代まで、金と人間との想像力における交渉を描く壮大な人類史。人間の技術や知は、死と生命の貧しさを超克する生命時間への干渉/支配だという視点は非常に興味深いものだ。錬金術は地中で成長…

宮台真司『日本の難点』(幻冬舎、2009年4月15日)

6月30日読了。ここしばらくずーっと抱いていた、相対主義と恣意性の超克という自分自身の問題意識は正しかった・・・と、宮台さんの本を読んで慰められている場合か?と思いつつ、確かに魅力的な議論の書。ベストセラーになっただけのことはある。「恣意性か…

沼昭三『懺悔録 我は如何にしてマゾヒストとなりし乎』(ポット出版、2009年5月21日)

7月1日読了。「沼昭三」こと天野哲夫氏の『S&Mスナイパー』連載の告白的エッセイと、未完の小説を収める。告白的エッセイは、連載当時は天野氏の名義で発表されたもの。やはり沼昭三の正体は誰かという興味から、天野氏の精神史や生活史を知りたいという欲求…

浦沢直樹+長崎尚志『Billy Bat 第1巻』(小学館、2008年6月23日)

6月29日読了。浦沢直樹のモーニング連載の新作。戦後日本を舞台にした謎解きもの。秘密結社や陰謀など、先行き不透明な現代に生きるわれわれの心性にぐっとくるモチーフをちりばめ、類型的だが魅力的な登場人物たちを動かす手腕はいつもながらのもの。昔懐か…

『NHKスペシャル ドキュメント太平洋戦争』全6巻

5月、『NHKスペシャル 電子立国日本の自叙伝』全6巻とともに、DVDボックスを購入。6月28日観了。先日全6巻を観終わった。この番組が放送された当時(1992〜93年)、現在から振り返ると、日本はバブル崩壊を迎えて、経済的・社会的凋落を始めていた。父親や祖…

久々更新

また気を失っていました。久々更新。ここしばらくで読んだ本など。専門書は除く。