読書
鬼畜ライターで有名だった、村崎百郎さんが、おそらく精神障害者だろう人物に刺殺された。昨日、Yahoo!のニュースをチェックしていた妻から知らされたが、半信半疑で記事を読み、しばし呆然としてしまった。 村崎百郎は、よく知られているように、1980年代、…
もうひとつ、司馬遼太郎を見直したきっかけが本書だ。司馬遼太郎は、人物、英雄を描くだけという印象が強かったのだが、この本では、登場人物の意識をつうじて、日本古代の律令制から中世の封建制への制度変動を描くことに成功しているように思う。義経やそ…
中学、高校の頃、小松左京や星新一、筒井康隆など日本のSFを結構熱心に読んでいたのだが、父親の書棚にあった司馬遼太郎を時折読んだ。現在覚えているのは、『燃えよ剣』、『新撰組血風録』、『竜馬がゆく』、『坂の上の雲』、『峠』など。幕末の群像を描い…
金属との人間の出会いから、バーチャル化した貨幣の時代である現代まで、金と人間との想像力における交渉を描く壮大な人類史。人間の技術や知は、死と生命の貧しさを超克する生命時間への干渉/支配だという視点は非常に興味深いものだ。錬金術は地中で成長…
6月30日読了。ここしばらくずーっと抱いていた、相対主義と恣意性の超克という自分自身の問題意識は正しかった・・・と、宮台さんの本を読んで慰められている場合か?と思いつつ、確かに魅力的な議論の書。ベストセラーになっただけのことはある。「恣意性か…
7月1日読了。「沼昭三」こと天野哲夫氏の『S&Mスナイパー』連載の告白的エッセイと、未完の小説を収める。告白的エッセイは、連載当時は天野氏の名義で発表されたもの。やはり沼昭三の正体は誰かという興味から、天野氏の精神史や生活史を知りたいという欲求…
6月29日読了。浦沢直樹のモーニング連載の新作。戦後日本を舞台にした謎解きもの。秘密結社や陰謀など、先行き不透明な現代に生きるわれわれの心性にぐっとくるモチーフをちりばめ、類型的だが魅力的な登場人物たちを動かす手腕はいつもながらのもの。昔懐か…
本日、澁澤龍彦『思考の紋章学』(河出書房、1985年)を再読。同書は大学時代の愛読書の一つで、カフカの「家長の心配」という短編に登場する「オドラデク」という謎の物体について、澁澤が書いていることを確認したくて、再読した。オドラデクは、人工物な…